住まいに自然を取り込む

北に八ヶ岳、南に南アルプス連峰。豊かな森林と田園風景。晴天率が高く、日照時間が長い恵まれた気候。東京から二時間という好立地。せっかくこのすばらしい地に住むのであれば、周辺の自然や農村風景と一体化した家づくりをしたいものです。

1 周辺の自然や農村風景との調和

美しい景観の八ヶ岳に住むのですから、つくる家は、周辺環境になじむものでありたいものです。自然環境にふさわしい建物の高さ、色、形、素材など、威圧感を与えず、目立ちすぎず、敷地周辺の風景に穏やかに溶け込むようでありたいと考えています。そのために次の点を心がけています。

周辺環境を壊さない屋根

周囲の農村風景に融けこむよう、二階建てであっても総二階でなく、平屋建ての雰囲気にしたいものです。南面をできるだけ低く抑えた大屋根の家等です。
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北側に少しだけ折り込んだ片流れ風の屋根。家の周りに植えた広葉樹が育ってくると、家の堅さがとれて周辺の景色になじんでくるだろう。

集落の家並みを参考に、入母屋造り、寄せ棟、切妻など、民家に通じる屋根の形をデザインします。深い軒や庇も必須です。

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寄せ棟の農家風。ガルバリウム鋼板葺きだが、風景としては茅葺き屋根のよう

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ガルバリウム鋼板葺きだが、茅葺き牛舎風でかわいらしい。漆喰と飾り貫の妻面が美しい

自然素材の住まい

まわりの自然環境と調和する木、土、石、竹など、家づくりに使う材料は極力自然素材を選びます。同じ木でも、合板でなく無垢材を。なるべく、あらわしにして使います。

木を植えるのも
家づくりの一部

空気がきれいな分、八ヶ岳の夏の陽射しは、都会よりかなり強いといえます。その夏の強い日差しを遮りながら、冬の日照を妨げないような落葉樹を南東と南西に植えることをお勧めします。これは同時に建物を周りの風景になじませる上で大変効果的です。また、家の背景になるよう北側に屋敷林風に常緑樹を植えるのも同様に効果があります。

2敷地を活かす建物の配置

眺望、高低差、隣地との距離など、家を建てる敷地の条件から、敷地を活かすのにベストな家の向きを決める。ここが、家の計画でいちばんの要です。また、田舎ぐらしで何をしたいかによっても、敷地の利用計画が決まってきます。

風景を楽しむ家

家の中に居ながらにして、田園風景や山を望むことができるように開口部の方向と大きさを決めます。南西に位置する甲斐駒ケ岳は、八ヶ岳南麓からの景色のシンボルといえる山です。

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部屋の中から田園風景や雄大な山を眺めることができるように計画

夕日を取り込む
あたたかい住まい

東京や大阪では、強い西日を防ぐために、西側に大きな窓をとることはあり得ませんが、八ヶ岳南麓では、東南から西南にかけて開口部を大きく取り、できるだけ長い時間、陽射しを取り込みます。夏の強い陽射しを遮りつつ、冬は家の奥にまで陽射しを届かせるのに、軒の出も大事です。

自然な風がそよぐ住まい

冷涼な気候なので、ほとんどの家でクーラ-は不要ですが、自然な風通しは確保したいもの。南東から北西にかけて、家の中を風が抜ける道をしっかりと幅広くつくります。

敷地全体が
暮らしのスペース

田舎暮らしは、家の外回りを含めて生活の場です。菜園、ガーデニングスペース、駐車場、薪置き場など、大まかなゾーン分けをします。家庭菜園を営むには、農機具などを置く物置小屋、肥料用のコンポストなども必要となります。

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手前に家庭菜園、薪小屋、駐車スペースを、景観と作業動線に配慮しながら決める

3 近所の人たちとの交流

自然環境との調和だけでなく、近隣の地域社会との調和も大切です。菜園を営むのに近くの農家の方に相談をしたり、作物を「もらったりやったり」という交流が生まれるような場として「濡れ縁」をお勧めします。

周辺の景観との調和や陽射しの取り込みのために、軒を深くつくりますが、濡れ縁はその軒下の雨にかからないところに作ります。

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軒の下に入る濡れ縁がお勧め

玄関からわざわざ家に入ってこなくても、気軽に立ち寄っておしゃべりできるスペースがあることで、近所の人たちとの和やかな交わりが生まれます、外仕事の合間に家にあがらずに休憩したりできるのも、便利です。

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濡れ縁の例