寒冷地における寒さ対策

八ヶ岳南麓は、ほとんどの地域がク-ラ-なしで快適に過ごせる高原地帯ですが、冬はマイナス5℃を下回る寒冷地。夏の避暑地としてだけでなく、定住するのであれば、しっかりとした対策が必要です。八ヶ岳住空間研究所では、暖房以前に、家の配置やつくり方そのものによって、太陽の恵みを活かしたり、家をあたためた熱を逃がさず循環させたりして、使うエネルギーを少なく抑えながらあたたかく過ごせる工夫をします。

1- 西日のダイレクトゲインを利用

まずは、暖房以前に、自然の恵みである太陽の陽射しを活かすことを考えましょう。そのためには、家の向きや窓をあける方向を考えます。

東京や大阪では、南面は開口部をもうけても、西日はあたらないようにするのが鉄則ですが、寒冷地である八ヶ岳南麓では、冬に長時間日射を受けることが、家の暖かさを保つことにつながるので、西側にも窓をもうけます。ただ、八ヶ岳南麓は空気が澄んでいる分、夏の陽射しは予想以上に強く、これをカットするには、南西方向に落葉樹を植えるとよいでしょう。

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南だけでなく、西側も大きく窓をとることで、日暮れ前まで太陽の熱を取り込むことができる。


2- 床下暖気循環システム

OMソーラーなど、太陽光を利用するさまざまなシステムがありますが、八ヶ岳住空間研究所では、大きな設備投資をすることなく効果を得られる「床下暖気循環システム」を考案し、実践しています。この際、床下に導いた暖気を絶対に居室に戻さないことが肝要です。なぜなら、床下に送り込まれた空気は基礎等のコンクリ-ト粉塵を巻き込むことになるからです。

太陽熱のダイレクトゲインや暖房によって発生する暖気は、室内の高いところにたまります。それを、送風ダクトで床下に送り込んで基礎耐圧版コンクリ-トに蓄熱させます。この暖気で、床下からフローリングをあたためます。

寒さは、足元から来るもの。床が冷たくなければ、寒さは大分和らぎます。「床下暖気循環システム」により、無垢の床板を素足で歩いても冷たさを感じない程度に、床面の温度を底上げすることで、頭寒足熱になります。必要以上に室温をあげなくても、少ないエネルギーで心地よく過ごすことができます。

「床下暖気循環システム」を採用すれば、暖房の熱源は、クリーンヒーターや薪ストーブ一台で、真冬でも十分あたたかく過ごせます。ただし、定住していない場合、一度冷えたしまった床下の蓄熱層は再び暖めなおすにはそれなりの時間がかかります。

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これならば、30坪を超える家でも、クリーンヒータ一台で十分

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薪ストーブでも同様の方法を採用できる。

3- 断熱はしっかりと

八ヶ岳は寒冷地ですから、冬、室内をあたためた熱を逃がさない家をつくるために、断熱性能が大事です。上記の「床下暖気循環システム」を実現するためにも、適切な断熱・気密の確保が前提となります。

断熱材を気密性をもって施工します

外からの冷たい空気はシャットアウトし、暖房した空気を逃がさないために、壁、天井、ならびに基礎周りには、適切な厚みをもった断熱施工をします。断熱施工の気密性が悪いと、結露につながるので、十分に注意を払います。

開口部には性能のいいペアガラスを

眺望を活かすためには、開口部は広くとりたいところです。しかし、窓から逃げる熱も意外と多いもの。断熱性能の高い、性能のよいペアガラスを使います。

4- 暖房は薪ストーブか、クリーンヒーターで

薪ストーブで

「薪ストーブ」は、田舎暮らしのあこがれのひとつ。生火のあたたかさは、輻射熱といって、エアコンのように温風を受けるのとはまた違って、じんわりとして、格別のものがありますので、これを採用される方はかなり多いといえます。

前ページでご紹介した、ふるさと情報館で土地・建物を得て移住してきた人たちの集まりであるふるさと倶楽部には「薪ストーブ愛好会」があり、薪となる木の情報が入ると、みんなで伐採し、現場でそれぞれ適当な大きさに切断して持ち帰り、薪の一部を確保しています。

自然のエネルギーの活用ということでお勧めですし、災害時でも影響を受けずに暖をとることができます。

ただし、薪スト-ブは立ち上がりが遅いので、2地域居住で週末利用、あるいは別荘でたまにしか使用されない場合は、補助的な暖房器具を用意してもよいかもしれません。

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薪ストーブは、採用したい人が多い人気アイテム

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自分で身体を動かして、薪を割る

クリーンヒーターで

クリーンヒーターとは、ガスまたは石油を燃料にした室内暖房器具のうち、燃焼用空気を小型ファンなどで屋外から強制的に取入れ,燃焼廃ガスを屋外に放出するもののことを言います。室内の空気が汚れないので「クリーン」ヒーターと呼ばれます。

薪ストーブのあたたかさは魅力的ではありますが、薪の調達など、手もかかります。年をとってからのことを考え、家の広さによっては、あえて薪ストーブを選ばなくてもよいかもしれません。ある程度の広さまでの家であれば、上記のような、太陽熱のダイレクトゲイン、断熱性能、床下暖気システムを実現していれば、クリーンヒーター一台でもあたたかく過ごせます。

5- コンクリート基礎は、凍結深度以下に

八ヶ岳南麓地区では、地面が凍らない深さは45~70センチといわれています。これよりも浅いところにコンクリート基礎を打つと、凍ったり融けたりを繰り返して、家の歪みにつながるので、注意が必要です。八ヶ岳住空間研究所では、凍結深度以下まで掘り下げ、15センチ以上のべた基礎を打つように指示していますし、その施工状況もチェックしています。